ツィター属の楽器

私がそもそも打弦楽器に興味を持ったきっかけは、ヨハン・シュトラウス作曲「ウィーンの森の物語」冒頭にソロで奏されるツィターという楽器を調べたことだった。楽器事典を見ていたら、それは発音原理の似たもの同士をまとめた図鑑で、ツィターの隣にはツィンバロムが掲載されていた。
「あら、こっちの方が面白そう」と思ったが、そのときはツィンバロムという楽器は博物館にある物というくらい遠い存在で、その後民族音楽を学んでイランのサントゥールや中国の揚琴を知ったが、イランの音楽も中国の音楽もそれほど興味を引くものではなかった。それでも同族の楽器にはいつも興味があり、20年も経ってからアメリカのハンマー・ダルシマーに出会うことになったのだ。

ダルシマーに出会い、楽器を入手して練習を始めてからもよく、人からは、ツィターと混同された。「あの、映画第三の男で有名になった・・・」「すみません、それじゃなくて・・・」。そういう意味で似たような形状で、弦をはじく楽器は近くにあった。そしていろいろ知るうちに、ハンマー・ダルシマーの近くにはマウンテン・ダルシマーという弦をはじく楽器があり、ハックブレットの近くには正にツィターがあることに気がついた。楽器を分類するときに、広義では共鳴箱の上に共鳴箱に平行に弦を張る楽器ということでは、ツィターもダルシマーも同族だった。

弦をはじく楽器というのは、かなり古くから存在する。ハープは典型で、聖書の時代から知られている。それに対してツィター属の楽器は、中世になってようやく出現する。中世の絵画には、天使が奏でるプサルテリウムという楽器が描かれている。そしてプサルテリウムはしばしばプレクトラムという棒状のもので奏される。そうするとその絵は、ダルシマー愛好家から見ると、弦をバチで叩いているように見えてしまうのだ。

何かこだわりのあるひとつを説明するためには、それと似たものとの違いに触れなければならない。そういうわけで、ダルシマーを紹介するのにプサルテリウムの説明までしなければならないことがしばしばあった。けれどプサルテリウムは、ダルシマー以上にみつからない。本当は古い絵画に描かれるようなプサルテリウム(あるいはサルテリーとも言う)がひとつ欲しいと思っていたが、そしてもちろんハンマー・ダルシマーと対比するためにマウンテン・ダルシマーも1台欲しいと思っているのだが、とても興味深い別の楽器をみつけてしまった。

それはReverie harpという卵型の楽器。ハープと名づけられているが、ツィター属の楽器。セラピー用の楽器として作られたものだそうだ。音楽を作ることよりも、かき鳴らすだけでその響きを楽しめる楽器。厚さ4センチほどのサウンドボックスが、ダルシマーのような台形ではなく、卵型に作られる。その卵の上下方向に弦を張ると当然外側が短く、真ん中が長くなる。それで端から端まで弦を鳴らすと、高い音から低い音そしてまた高い音へと変化する。低い音はピアノの中央のドより1オクターブ下あたり、高い音は中央のドより1オクターブ半くらいの高さまで、22本の弦が張られる。チューニングに工夫があり、最低音を境に右と左で変えてある。必要に応じて片側だけを使うこともできるし、2、3本選んではじいて和音を作ることもできる。それほど大きくもないし軽いので、オートハープのように抱えても演奏できるし、膝や机の上に置いて奏することもできる。

ちょっといいかも。
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by yt-aoki | 2009-08-29 01:44 | 楽器 | Comments(0)
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