初めてのD10

10年以上前、ハートストリングスの前身となるグループができた頃、私たちはDave
Neiman氏からDusty Strings社の楽器を買った。初心者は皆テーブル用の足とケースがセットされたApprentice Packageを選んだというか、私などはそれ以外は先生の持つ大きな楽器しか知らなかったと言ってもよい。大きな楽器は高かったし、重かった。だから迷いもなく、Apprenticeを買った。

2002年、Neiman氏から送られてきたDusty Stringsのカタログに、
「最近D35が小さくて軽くて安くて評判がよい」というメモが貼り付けられていた。
その翌年グループに入ってきたTさんは、翻訳ソフトを利用しながら自力でD35を輸入した。
初めてその楽器を見たとき、確かに小さくて軽くて、さらに買おうと思った時に手が届く価格だった。また、私はApprenticeの単純な形に惹かれていたので、ブリッジを追加してクロマチック・レンジを広げることにも、音域を広げることにも興味がなかった。そういう点でも、高音にわずかな工夫をしただけのD35は魅力的な楽器だった。

2005年に和歌山と東京の遠距離デュオであるメリー・ストリングスを結成、茨城県の美野里で演奏しようとしたとき、Apprenticeの2オクターブ半では音が足りなくなってしまった。最初はそれをあまり使わない音を変えて作ろうかと考えたのだが、そのうちにそれがD35で解決することに気づき、買うことにした。以後、D35が私のメインの楽器となった。その後も足りない音はでてきたが、楽器を大きくするのではなく、その楽器の範囲内で編曲するというように方向を変えたので、今はもうどんな曲でもD35で弾けるようにしか考えていないし、半音進行が続くような曲はいくらきれいな曲でも演奏しない。ダルシマーに合うか合わないかを考えて選曲するようになった。

先日楽器購入についての相談を受けた。私はいつものようにApprenticeをおすすめした。音楽経験によってはD35以上の楽器も考えられるが、楽器の重さとチューニングの大変さを考えると、12/11は十分使える楽器だ。実際ドイツ大会で出会ったイギリスの演奏家も、その大きさの楽器で華麗に舞曲を弾いていた。ハートストリングスのメンバーでも、必要に迫られないかぎり、Apprenticeを使い続けている。

ところがその方は、色や形、質にもこだわる方だった。そして選んだのがD10だった。D10はApprenticeと同じ大きさだが合板ではなくサペリという木材でできている。そして到着した楽器を持って訪ねてきてくださった。そのときの主な目的がチューニングの仕方を知ることだったので、あまり家にあるApprenticeと弾き比べることはしなかったが、Apprenticeに比べしっかりと音が保たれ、ペグが固いという印象を持った。だいたいダルシマーは新品を買って半年くらいは、毎週のようにチューニングしないと安定していかない。それが、すでに安定した状態で、ほとんど合わせる必要もないくらいだった。

この楽器、持ち主のお宅にこもるのではなく、いつかどこか外で聞く機会ができたらと思う。
[PR]
by yt-aoki | 2010-06-16 17:09 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)
<< 和歌山へ 「若い芽コンサート」 >>