生明慶二さん

ダルシマー関係のことがあれば、すぐにここに書いているのに、今回遅れているのは何故だろうと考える。

5月11日、日本打弦楽器協会の会長である生明慶二さんがゲスト出演された、福原まりさんのライブへ行った。それをすぐに報告できないのは、ひとつにはこんなレアな機会を、ダルシマー情報として発信していなかったから。

知ったのは5月2日。知ってすぐに日本打弦楽器協会のイベント情報に投稿。4日にはご本人から電話をいただいている。協会の理事が気づいてないかもしれないと連絡したのが6日、明日会うハートストリングスのメンバーに知らせなければと思ったのが7日。私自身の予約は9日。

何故ここに書かなかったのか? 多分自分の本番とプライヴェートな用事、仕事などで、意識が向かなかったのだ。と悔やんでも仕方ない。

気をとりなおして・・・

日本打弦楽器協会に入って何年経ったろう。それは私がダルシマーという楽器を手に入れたのとほぼ同時だから13年くらいにはなるだろう。生明慶二さんは当初よりそこにいらした。ダルシマーという楽器を、アメリカの音楽史の中に探していた私は、その人がどういう方なのかをよく知らなかった。

5年くらい経って協会の体制が変わった。6年前には、中国で開催された世界大会に、ご一緒させていただいた。中国に同伴された奥様とも親しくお話させていただく関係になり、協会の雑誌の取材と称して、お宅にも伺った。そんな短い歴史しかないが、今に至るまで、生明さんは、協会のイベントでは一度も楽器を演奏されたことがない。いつも「もう目が見えないし、手も動かない」とおっしゃっていた。

それでも長年ダルシマーおじさんとして知られ、昭和40年代の終わりから「犬神家の一族」「異邦人」をはじめ、あらゆるシーンでダルシマーを弾き続けてきた人に、演奏依頼が舞い込む。3年前のNHK時代劇「花の誇り」、昨年の「食堂かたづむり」。今回のライブはその「食堂かたつむり」の作曲者、福原まりさんによるもの。

ライブは福原まりさんのピアノ・ソロで始まり、だんだん人数が増えていく。セカンド・ステージの後半になってようやく生明さんのご登場。他の楽器とかぶるので、PAしてても弱いかな。しかしその風貌とともに、キャリア38年?の存在感。

そう思いながらも、親と同じ世代であることを考えると、大丈夫だろうかと心配になる。ずっとスタジオで仕事をしていらした方だ。舞台のプレッシャー、ライトを浴びた時の弦の影、まわりの楽器の音などがストレスになるのではないか。奥様によると、もう何度も引退しているのだとか。そして引退したつもりでいても、周りが許さない。というか、この楽器を弾ける人がいないのだ。

早く後継者を養成しなければ。もちろんこの人に替わりうる人はいないけれど、裾野を広げ、さまざまなジャンルにダルシマーを進出させ、弾く人を増やすことによって、つないでいかなければ。

今、私たちの仲間には、古楽、ケルト・アイリッシュ、クラシック、ポップスなど様々な志向性を持った人たちがいる。生明慶二さんと同じクロマチック・ダルシマーを弾く人、また、ダイアトニック楽器を弾く人が日本各地に増えている。そういう人たちのレベルを向上させ、再び作曲家の方たちに注目してもらわなければ。

そんなことを強く感じた一夜だった。
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by yt-aoki | 2011-05-18 01:04 | 日本打弦楽器協会 | Comments(0)
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