ティンパノンを弾く貴婦人

日本語の本では竹下節子著『からくり人形の夢 人間・機械・近代ヨーロッパ』(岩波書店、2001)に紹介されているティンパノンを弾く貴婦人の動画を久しぶりに見た。




まだYouTubeがなかったころ、アメリカのハンマー・ダルシマーのメーリング・リストで紹介されたのを、何分もかかってアクセスした記憶がある。それが私とこのオートマタとの出会いだった。



演奏はこちらのほうが楽しめる。

この人形は、1997年に修復されるまでは衣装もない無残な姿で紹介されている。ちょうど私がダルシマーと出会って楽器のことを調べ始めた頃だ。

そしてこの人形をみてすぐに、これこそがパンタレオン Pantaleon だと思った。パンタレオンとは、ダルシマーの世界の中ではちょっと特殊な楽器で、パンタレオン・ヘーベンシュトライトという演奏家が自作の楽器を演奏して有名になり、1705年にルイ14世の前で演奏したところ、その楽器も演奏者と同じパンタレオンと呼ぶよう王が命じたというものだ。大型で、維持費もかかり、しかもヘーベンシュトライトが楽器の複製を許さなかったため、彼とごくわずかな弟子のみが演奏し、18世紀の終わりには断片的な描写のみで楽器の姿がわからなくなってしまった。

けれど長さが3メートル近く、幅が80センチくらいで、ガット弦とスチール弦を張っていること、パンタレオンの演奏がピアノという楽器を生み出す参考になったこと、このオートマタがマリー・アントワネットのために作られたことなどを考えると、やはりこれがパンタレオンではないかと思う。
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by yt-aoki | 2011-09-16 01:00 | 歴史 | Comments(0)
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