2008年6月、打弦ではなく多弦の会を開いたときに出会った楽器。
この楽器が気にかかる。 同じときに登場したフランス・シター この左側だけのような楽器。 次に出会ったのはウィリアム・メレル・ヴォーリズ展(2009年6月汐留ミュージアム)。 本棚の上に置かれていた楽器のキャプションには、 1901年アメリカ・シュトラウス社製のクィーン・チターとキャプションがあった。 ライプツィヒの楽器博物館が出しているZithernという本にあったのは、 Gitarrenzitherというフランス・シターの原型のような楽器。1910年ごろのベルリンとニューヨークにあったMenzenhauer & Schmidtという会社のもの。 そして今年、Dulcimer Players Newsを整理していて、2010年の秋号にその楽器をみつけた。 予想に反して、楽器を横向きにし、右手に持ったピックではじいているようなその楽器は、スウェーデンのCittraだった。さっそくswedish cittraを検索する。 ドイツのAckordcittraとの関連を指摘する記事があった。けれどこのつづりはスウェーデン語のようだ。ドイツ語だとAkkordzitherかな? ところでフランス語でzitherはどう綴るのかと調べていたら、cithareだった。 フランス語のWikipediaのcithareの項に出ていたのは、Gitarrenzitherと同じような、装飾の多い楽器。英語でchord zitherと検索しても、ドイツ語のAkkordzitherで検索しても、同じようなもの(左側がコードで右側に旋律用の弦を張った楽器)しか出てこない。 確かにYouTubeにもこの楽器を伴奏に歌っている映像があるのだが、楽器の詳細がわからない。 いろいろ調べていて唯一写真が出てきたのは、日本の「ハープとチター」というサイトだった。けれどこんなに重厚じゃない楽器が、もっと普通に使われていたのではないか? 例えばヴォーリズ。1880年アメリカカンザス州生まれ。1900年にコロラド・カレッジに入学し、YMCA活動を開始する。1902年に外国伝道への献身を決意し、1905年に来日。彼のクイーン・チターはおそらく賛美歌の伴奏に使う楽器として持ってきたのだろう。 もしかしたらさまざまな名前の類似品があって、簡単に入手できたのに、すぐに忘れられていった楽器なのではないか?と想像がかきたてられる。ますます気になる。
by yt-aoki
| 2012-08-02 18:58
| 楽器
|
ファン申請 |
||