9月9日は重陽の節供。菊の節供ともいう。かつての日本では年間の節目となる行事の日だったが、印象が薄い。私も、意味もわからず重陽という言葉を覚えていただけで、菊を飾る日だったかなという程度しか理解していない。その9月9日に、しばらく耐震工事のために使えなかった自由学園明日館講堂で行われた「張林&フレンズ ~揚琴尽くし菊の宴~」を聴いた。張林&フレンズというシリーズは、揚琴奏者張林が他楽器との共演をするものだと思っていたが、今回は「揚琴尽くし」、菊も聴くにかけての共演(饗宴)と前説がある。こういう企画は聞く前から興味深い。 今回のフレンズは張林の弟子でもあるパーカッション奏者の足本みよ子と、1990年に来日し、高校や放送大学の講師を務めるほか、多彩な演奏活動を行ってきた鄭宇(てい・う)。この3人が揚琴をソロで、二重奏で、三重奏で演奏する。こんな珍しいコンサートは日本では初めてではないだろうか。 最初に三重奏で《茉莉花》を演奏し、3人それぞれのソロ曲の演奏がある。張林は中国伝統曲、足本はアルベニスのアストゥリアス、鄭宇が日本古謡の《さくらさくら》という選曲がおもしろい。アストゥリアスは最近、ハンマー・ダルシマーでも弾かれている。 二重奏は、張林・足本という組み合わせで3曲、鄭宇・足本という組み合わせで1曲、そのうち、張林・足本という組み合わせでは、日本の曲のほか、《イリヤーシュ》というマリンバ・ソロの編曲があった。鄭宇・足本の組み合わせで演奏されたのは《節日の天山》、揚琴ソロ曲として有名な曲だ。 後半のソロ曲は鄭宇がルーマニアのディニクの《雲雀》、足本がエドワーズの《マリンバ・ダンス》、張林はオリジナルで《三つの前奏曲》。最後の三重奏は《揺族舞曲》だった。これも普段はソロで演奏する曲だが、3台の揚琴で奏でられるのは迫力がある。 そして鄭宇から情報のおまけ。あの「女子十二楽坊」が来日するそうだ。 それにしてもこの話題、「女子十二楽坊が出て、ダルシマーという楽器もだいぶ認知度があがったよね」と言われた故笠原潔先生の言葉が懐かしく思い出される。
by yt-aoki
| 2017-09-18 21:09
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