CWAエピソード5:サイン攻め

日本の次は天津音楽学院の演奏だった。その最中、チェックインの準備ができましたと呼び出された。ロビーであれこれ書類を書き、それぞれの部屋がシングルかツインか、食事をどうするか、キャッシュで払うかクレジット・カードで払うかを確認され、金額が決まるとそれをホテルのフロントに払いに行き、領収書を持ってカウンターに戻る。そして初めて名札、プログラムなどの一そろいが渡された。119ページの厚いパンフレットには、いわゆるご挨拶や組織委員会のメンバー紹介、外国からの参加者の紹介、中国からの参加者の紹介が掲載されている。薄い方は、より細かな曲目まで掲載されたプログラムになっている。何がどこに書いてあるのかを理解するまでに時間がかかった。

さて、その日の午後だったと思う。中国人の若い子たちが、日本人演奏者にサインを求めに来た。「そーかそーか、サインね。」と思ったのもつかの間、彼らは私のほうにもやってきたのだ。開かれたページには私のプロフィールが記載されている。中には一緒に写真をとってくれという者もいる。これは延々とほぼ最終日まで続いた。しかも演奏した者ばかりではない。プロフィールが掲載されている者はすべて。中には、あなたの名前はないのかと、何故か名前だけしか掲載されなかった人にまでサインを求めてくる。集合写真を撮っていた時にも、隣からプログラムとペンが差し出されたのにはびっくり。

私達外国人の名札には写真の上に大きくAと記載されていた。他にはBまた、AともBとも記載のない名札があった。帰国してから調べなおしてみたが、Aは中国人の場合、5年以上の教育経験があるとか、学術発表をしている、国家二級以上の専門の演奏家などであったのだ。だから中国の高名な先生方と同じ扱いを受けた。(ちなみにBは演奏家、教育者であっても紹介状が必要、その他は学生だったり愛好家だったりする。)

学生達にしてみれば、自分が勉強している楽器の世界的な大会が自分の国で開かれ、世界各国からその国を代表する演奏家達が来ている、一流の演奏を聞き、外国の事情を知り、見たことのない同族の楽器を見るという大興奮の機会だったのだ。私も一愛好家にすぎないのに、大変な待遇だった。彼らは自分の出身地へ帰り、こんなにたくさんサインをもらったし、写真をとったと親兄弟、友人達に報告するのだろう。

なんとも申し訳ないような貴重な体験だ。
[PR]
by yt-aoki | 2005-10-28 23:51 | 日本打弦楽器協会 | Comments(0)
<< CWAエピソード6:ふるさと CWAエピソード4:登録前の発表 >>