ピアノ・ダルシマー

昨年秋、Dusty Strings社のPiano Dulcimer(PD30)を購入した人が、練習会に楽器を持って参加してくれた。私の周りでは、I氏がDS社他のダルシマー・メーカーを回った際に見てきたくらいだ。私たちの先生も持っていると今回知ったが、使えずに置いてあるという。

私はといえば、I氏の報告を読み、また先日写真を使っての口頭発表を聞いた他は、DS社のサイトを見に行くくらいだ。ただ、楽器が欲しいと相談されたとき、I氏の発表を聞いて面白いと思ったので、こういうものもあるという紹介はした。彼女の音楽歴と、楽器に求めている条件から、実際に手にした事はないが、ピアノ・ダルシマーという方法もあると感じたからだ。そして彼女は見たことも音を聞いたこともない楽器を買った。

クロマチックのダルシマーと言えば、ドイツのハックブレットだ。アメリカのダルシマー・メーカーも、ブリッジを増やして必要な音を作り、それをクロマチック・ダルシマーと言っているが、それは単にある音域に関してはすべての音があるという程度のことでしかない。ピアノのように、1オクターブの12音が順に配置されているのは、ハックブレットとピアノ・ダルシマーだけだろう。(もうひとつあったかもしれないが、印象が薄く記憶に残っていない。)

ハックブレットはブリッジを左右に寄せ、内側だけをたたくという方法を採用した。そのためこの楽器の幅はそれほど広くない(底辺が短い)。それに対してピアノ・ダルシマーは、楽器の中央部分にブリッジを立て、左右を使う方法を採った。ブリッジの左側と右側の音は、右側が半音高くなっている。さらに弦はブリッジ上の2点で支えられるため、片側の弦をたたいても、反対側に影響しないばかりでなく、その音がピアノで言えば白鍵にあたるのか、黒鍵にあたるのかを白と黒で示している。

音階の弾きにくさなどはハックブレットと変わらない(ハンマー・ダルシマーは、音階を右手から始めても左手から始めても手を交差せずに交互に打つことができる)。しかし、半音でつながる音型をもつフレーズを弾いてみると、圧倒的にピアノ・ダルシマーの方がハックブレットよりも弾きやすい。ブリッジの左右なので、弾く位置が近く、打ち間違いが少ないのだ。しかも出てくる音は、普段からなじんでいるダスティの音だ。

面白い。それに、使える。ちょっと欲しくなってしまった。
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by yt-aoki | 2006-01-30 01:23 | 日本打弦楽器協会 | Comments(0)
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