めったに聞けない組み合わせ!

揚琴のウェイウェイが、ミュンヘンのツィター奏者 Willi Huberと「中国揚琴&ツィター 夢の共演」というコンサートを開いている。(4月25日、26日、28日)

ツィターは映画「第三の男」のテーマ曲でアントン・カラスにより有名になった楽器であるが、ヨハン・シュトラウスの「ウィーンの森の物語」の冒頭でもソロで演奏される。箱の上に金属弦を張るという点ではダルシマー属と同じだが、こちらは弦をはじく楽器。もっともツィターという語は、広義にはこの「箱の上に弦を張り渡す」楽器全体を示すため、ダルシマーもツィター属であるという言い方のほうが正しい。

狭義のツィター、Williが演奏した楽器は、オーストリアやドイツ南部にある箱型ツィターで、演奏者の手前側にはクロマティックなフレットのある指板の上にメロディー用の弦を4,5本張り、そのほかに30~40本の伴奏弦を持つ。メロディー弦は親指にはめたプレクトラムで演奏し、伴奏は開放弦を指ではじく。今回Williが持ってきた楽器は音楽表現を広げるために新しく作られたもので、通常の伴奏弦だけでなく、さらに1オクターブ下までクロマティックに配置した低音弦を持つ。そのため楽器の形も妙な四角形になっているが、この低音弦の響きが心地よい。

さてその二人の共演。揚琴のバチは竹にゴムをかぶせてあるので、通常は柔らかい音がするが、反対側の竹で打つとハンマー・ダルシマーのようなきらきらとした音になる。そしてツィターも、プレクトラムの硬い音と、指を使う柔らかい音に、さらにハーモニクス奏法の独特な音色が加わる。これらが、Willi Maerzという名で編曲家としても活躍するWilliの手により交錯するのだ。200本近い弦が生み出す華麗なる世界!

ウェイウェイが話していたように、たくさんの楽譜が行き交い、それぞれに練習を重ね、合わせたのは本番前のわずかな時間だったろう。それは私自身が遠隔地デュオをするのでよくわかる。それぞれのソロのほかに、デュオで演奏したものが6曲あったが、おそらくそれらはWilliの編曲によって支えられたのだと思われる。彼は日本が大好きだと言っていたが、日本の音楽をよく研究しているので、「さくら」などの編曲にも違和感を感じない。それどころか、前奏や装飾に使われる思いがけない音の連なりに、自分の編曲力のなさを実感させられる。

彼ら二人は日本で、あるパーティーで知り合ったという。この珍しい組み合わせのデュオが、日本で、日本打弦楽器協会の会員によってなされたことがとてもうれしい。
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by yt-aoki | 2007-04-26 22:18 | イベント・コンサート | Comments(0)
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