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中国楽器の改良

「二十世紀後半における中国筝の変遷ー楽器改良を中心にー」という研究発表を聞いてきた。
(6月16日東洋音楽学会東日本支部第32回定例研究会)

揚琴の歴史については、まだあまり調べていない。けれど西洋のダルシマーが中国に到達した頃はまだブリッジが2本の小さな楽器で、それが中国音楽に合わせて改良され、現在見られるような大型の楽器になったことはわかっている。

その揚琴の改良がいつごろ行われたのかということを、詳しくは知らなかったが、どうやら20世紀も後半になってからのことだったようだ。1975年7月4日の朝日新聞に、中国中央楽団が置いていった楽器を弾いている薊けいじさんの写真が掲載されている(「ドキュメント戦後の日本第36巻学術と文化の軌跡」大空社、p323)が、この楽器のブリッジもまだ2本だ。

中国筝の変遷に関しては、発表者が詳しく年表を作成しているが、容易に転調できる筝が開発され始めたのが1957年とのことだった。後から質問者が、モンゴルでは政府決定で楽器改良に取り組んだのが1950年代だったと発言したことも興味深い。社会情勢なども考えると、揚琴の改良も時を同じくしていたのではないかと思われる。

揚琴はもともと洋琴という表記が使われていた。これは文字通り西洋の琴で、海を渡ってヨーロッパから到達した楽器であることを示している。しかしこの楽器が中国にやってきた年代に諸説あり、まだ正確にわかっているわけではない。
by yt-aoki | 2007-06-17 01:26 | 歴史
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