シュタイリッシェ・ハックブレット

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何台目の楽器かということには触れないでおこう。この楽器と初めて出会ったとき、とても興味を持って欲しいと思ったけれど、まさか本当に私のところにやってくるとは思わなかった。

ハンマー・ダルシマーとそっくり、でも違う。名前はハックブレット、でもダイアトニック。
オーバーアマガウに行ったとき、もしあったら買うかもしれないと思っていたけれど、オーストリアからの出品はなかった。そう、これはオーストリアのシュタイヤマルク地方の楽器。

今一般的に使われているクロマチックのハックブレットができたのは20世紀も終わりごろ。それができる前はどんな楽器だったのだろうという疑問に答えてくれるもののひとつがこれ。もうひとつ日本では珍しいスイス・アッペンツェルのハックブレットが国立音楽大学楽器学資料館にあるが、日本に入ってきているハックブレットはほとんどクロマチックのものだ。

Paul M. Giffordの"The Hammered Dulcimer : A History"にはクロマチック以外に6種類ハックブレットの弦のレイアウトが掲載されているが、このシュタイリッシェ・ハックブレットが一番ダルシマーに近いような気がする。そして近いのだけれど違っていて面白い。

大きさはDusty StringsのD35と変わらない。けれど重い。ケースに入れると13キロ。
持ち歩けない。それよりも、部屋がいっぱい。
Rizzettaのピアノ・ダルシマーはケースがなくてしまえないし、D35で演奏する予定があるので出している。到着したばかりのハックブレットはまだしまう気になれないし、今日は雨のため家でレッスンしたのでDusty StringsのApprenticeも出してしまった。ちょっと尋常ではない状態だ。

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左がハックブレット、右がハンマー・ダルシマー。
こんな違いも面白い。

この楽器を破格の値段で譲ってくださったのは、「イ長調のワルツ」というサイトを作っていらっしゃる市川さん。
http://e1-1.com/

市川さんはウィーンのフォークダンスがお好きで、踊るときにはどうしてもシュタイリッシェ・ハーモニカというボタン式のアコーディオンとハックブレットがなければと求めてこられたそうだ。(ここでクロマチック楽器を選ばなかったというのがこだわり?) 以前からそのサイトに「ハックブレット奏者募集」と書かれているのは知っていたが、私がハックブレットをよく知らず、自分の楽器に近いものとは思っていなかった。

シュタイリッシェ・ハーモニカという楽器も日本では珍しく、とても情報が少ない。一度シュタイリッシェ・ハーモニカとハックブレットをあわせてオーストリアの音を再現してみたい。ただどうも、市川さんの一番良い楽器とこのハックブレットの調が合わないというところに問題がありそう。でも、日本におけるハックブレットの新しい世界が開けそうな気がする。
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by yt-aoki | 2008-08-21 23:13 | 楽器 | Comments(8)
Commented by 小松崎健 at 2008-08-29 14:10 x
面白いですね。ダイアトニックというと、ハンマーダルシマーと同じチューニングなのでしょうか・・。
青木さんの家に遊びに行きたいなあ。また来年2月に東京へ行くので、もし良かったら・・。
Commented by yt-aoki at 2008-08-30 00:39
高音ブリッジの弦長が2:3に分割され、左右が5度関係にあるのは同じです。コースの間隔も、全音、全音、半音ですから、同じように4コースで1オクターブの長音階を得られます。
違うのは低音ブリッジとの関係。ハンマー・ダルシマーが5度になっているところが7度です。7度というと変な感じがしますが、高音ブリッジの下のコースではなく上のコースで考えれば6度なのですよ。そのように理解すると、結構その配置は納得できます。
来年2月ですね。ぜひどうぞ。
Commented by 小松崎健 at 2008-08-30 06:43 x
なるほどお。面白いですね。
はい、2月ぜひ!!
Commented by dulcimaniaひろたか at 2009-01-04 12:00 x
お久し振りです.

実は先日シュタイリッシェ・ハックブレットを入手しました。
持ち主はこのハックブレットについて詳しくないのですがシュタイヤマルク地方で音楽を少しかじった人で、TUNING等についてあまり詳しくことが聞けず、こちらにやってきました。

上記の健さんとのやり取りで少し見えてはきたのですが、
又御教示を御願いしたいと思っています。

当方のはchromaticで4弦の32コースです。
15年ほど前シュタイヤマルクの年老いた職人ガ作った3台が日本に入ってそのうちの1台だそうです。
DIATONICのハックブレットはBRIDGEの左右が使えるんですね。
であればHDに近いですね。

BRIDGEを移動してHDのように使おうとも考えますが、
SANTOOLもまだ途中だし、状態も非常によく、
弦のゲージも変えなくてはならないだろうと思い。


まずはオリジナルのTUNINGが知りたくてコメントしました。

アドバイス宜しく御願い致します。

当方のは内側しか使えません。
Commented by yt-aoki at 2009-01-05 12:36
ひろたかさん、お久しぶりです。
シュタイリッシェ・ハックブレットが手に入ったのですか。すばらしい。
ひろたかさんは本当にdulcimaniaでいらっしゃいますね。

シュタイリッシェ・ハックブレットのチューニング法を書いたものがどこかにないか探したのですが、なかなか適当なものが見つからず・・・でも入手された楽器はクロマチックで、内側しか使えないのですよね。だとしたら最低音がg(ピアノの真ん中のドの下のソ)で最高音がd3(2オクターブ半上)ではないかと思います。

ちょっとわかりにくいのですが、
http://www.volksmusikschule.at/hackbrett.htm
の下の方に2台の楽器の写真があって、その上に文字で記してありますが、このchromatische(Salzburger)ではないでしょうか?GisはG#, CisはC#などすべて-isがつくと#になります。

私の楽器のメーカーを書かなかったのですが、Ernst Spirkといい、ここでもDiatonisches HackbrettのほかにChromatisches Hackbrettを作っていて、その音域はg-d3でした。

クロマチック楽器が1台あると、楽しみが広がりますね。
Commented by dulcimaniaひろたか at 2009-01-05 21:11 x
早速のコメント有難うございます。

ご紹介の市川さんと連絡取れまして、やはりSalzburgerではないかとのことです。
譲ってくれた方はシュタイリッシェだと言い切ってたのですが、実際の奏者ではないので誤解があるのかもしれませんね。

丁寧にTUNING DIAGRAMを送って頂いたのですが、
ISは#だろうなと思ったのですがHは何ぞや?
更に食い下がっているところです。
DIATONICのは3弦、Chromatisches Hackbrettは4弦が普通なのでしょうか?

後、とにかく重い、、、、ハードケースにいれるとうんざりします。
又TUNINGに1時間かかる、、、、
打弦の世界は今更ながらにハードですね。HAMMERED DULCIMERは可愛い方かもしれませんね。
これがCIMBALOMになったら。。。。。。

この楽器はやはりchromaticにしておこうかな、と考えてるところです。

御教示有難うございました。

Commented by yt-aoki at 2009-01-06 00:40
ひろたかさん、そう、Hの説明を忘れました。
ドイツ音名はH(ハー)が英語のBです。でB(べー)がB♭です。他のフラット系は-esなのですが。ドイツ音名は「なんとかシャープ」とか言う必要がなく、ド、ド#、ド♭が、C Cis Ces(ツェー、ツィス、ツェス)と短かく楽なのでつい使ってしまうのですが、うっかりE(エー)と言って英語のAと混乱したりします。

1コース4弦はチューニングが大変ですよね。私のSalzburgerは3弦ですが、ハンマー・ダルシマーの2弦からすると、それだけでも大変でした。そして当然弦が増えれば楽器が重くなる。さらにダルシマーのケースに比べてハックブレットのハードケースの作りのしっかりしていること。
本当にそういう点で、ハンマー・ダルシマーはかわいいです。
Commented by dulcimaniaひろたか at 2009-01-06 18:30 x
自分も学生時代ドイツ語は必修で学んだはずなんですが、
今では定冠詞の主語変化くらいしか覚えておりません。

又、SANTOOLも4弦ですが弦が増えるとその分音量が稼げるのでしょうが、綺麗にTUNEしないと柔らかくなるともいえますが音が濁ってしまって、2弦位が一番自分的には好きな音のような気がします。

円高の今、HD買い時かもしれませんね。
それより練習が必要なのですが、中々仕事を終えて集中できないのが情けないです。

楽器に負けてる状態ですね。。。。。。。
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