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ツィンバロムの夕べ

カテリーナ・ズラトニコヴァさんをゲストに迎えての、東京ツィンバロム・アンサンブルによるコンサートは、ハックブレットによる古楽からツィンバロムの現代曲まで、バラエティに富んだ内容となった。厳密に言えばそこで使われたハックブレットは、モダン・ハックブレットであるが、ツィンバロムとは違う響きで、こんな演奏形態もあったのかもしれないという気にさせられる。

ツィンバロムは有名なモンティのチャルダッシュに始まり、バルトークのルーマニア民族舞曲では、ツィンバロム2台とピアノという編成で、東京ツィンバロム・アンサンブルならではのものだ。

カテリーナ・ズラトニコヴァさんは、彼女の先生の曲、彼女に献呈された曲、そしてご本人の作品をソロで演奏していく。

数少ない日本人作曲家による作品、浅川春男さんのCapricioは、浅川先生がツィンバロムを学ぶために留学した際、イダ・タリアニ・トート先生に勧められて書いた曲だそうだ。初演は1975年ハンガリーでイダ先生により、日本初演はこの日の演奏者崎村潤子さんの先生である加納靖子さんにより行なわれている。作曲者の紹介はその方が臨席されていれば当然のことだが、浅川先生自身からこの曲についての想いと崎村さんへの賛辞が送られたことで、いっそう印象が深まった。

そして最後は雰囲気を変え、タルカス変奏曲で盛り上がる。

コンサートはフルート奏者松尾麻里さんのおだやかな語りによって進行され、それがまた過不足なくわかりやすいもので、ただ松尾さんがライトから外れて顔がよくみえないことだけが残念だった。また途中ツィンバロムのチューニングを変更する場面があり、なぜそれが必要なのかのアナウンスがあったが、それもまた、この楽器を知ってもらう役に立ったのではないかと思う。
by yt-aoki | 2008-10-02 22:57 | イベント・コンサート
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