2008年 06月 04日 ( 2 )

41人、43台、1596本 その2

ハープの次はライアー。木村弓さんが「いつも何度でも」をライアー伴奏で歌い、それが「千と千尋の神隠し」の主題歌となったことで日本でも知られるようになった楽器で、ゲルトナー・ライアーとも呼ばれる。ハープ同様太古の昔からあるが、この形は20世紀のドイツで生まれたもの。クロマチック楽器で、弦の起点は同じだが、ピアノの白鍵に相当する弦と黒鍵に相当する音をブリッジの高さを変えることで区別している。そのため、この楽器をハープのように演奏者の前に立てたとき、右手が触る弦は白鍵、左手が触る弦が黒鍵ということになる。この工夫により、小さな楽器なのに3オクターブの音域を持つ。

ネックのある多弦楽器の最初は、インドのシタール。共鳴弦をたくさん持つので多弦楽器。旋法の違いにより、フレットを移動できたり、弦を引っ張ることで音程を変えることなどは、筝にも通じる。そのあたりにアジアの共通性を感じたのは、私だけだろうか。

そして次はコントラ・ギター。この楽器にはネックが2本ある。下は普通のギターと同じ、上は開放弦でベース音を弾けるよう、1オクターブの12音を作る。ウィーンの酒場音楽、シュランメル兄弟が有名になったことでそのジャンルはシュランメルンと呼ばれるが、ヨハン・シュトラウスの時代に小規模な編成で楽しまれていた音楽で、その楽団の中でベースとヴィオラの役割を1台で担っていたそうだ。楽器の持ち主は「日本に10台あるかな」と言っていましたが、どうでしょう。

多弦楽器は、ダルシマーやツィター、ハープのように、その音を得るためにたくさんの弦を張るものもあるけれど、シタールのように共鳴弦としての弦を持つものや、複弦にすることで弦の数が増えるものがあると想定していた。それで複弦のマンドリン、ギター、ウクレレを紹介する可能性もあると考えていたが、参加はなし。

そしてようやく擦弦楽器。
最初はシュトライヒ・プサルター。英語ではボウド・サルテリーBowed psalteryという。ダルシマーのように箱の上に弦を張り、その弦をはじく楽器をサルテリーというが、それを弓で弾くということだ。ヴァイオリンなど弓で弾く楽器は、ブリッジがカーブしていて弓が隣の弦に触らないようになっている。また中国の二胡の場合は、2本の弦の間に弓があり、弓の表と裏を使うようになっている。そういう楽器を知っていると、何で並行に張った弦のそれぞれを弓で弾くことができるのかと不思議に思えるが、この楽器の形にその秘密がある。それを考えると日本語で「三角ヴァイオリン」といったりすることも、その本質を突いていて悪くないのかもしれない。

次はハーディー・ガーディ。この楽器もヨーロッパの各地にあり、違う名前を持っている。4弦の楽器だが、この後に登場するニッケルハルパと比較したいと思ったので、参加をお願いした。とても説明するのが難しい楽器で、まず音を発生する部分は弓でも棒でもなく、蓋の内側に隠された木製の円盤である。そしてその円盤をどうやって動かすかというと、楽器の外側にあるハンドルを回す。弦はガットでチューニングが難しいだけではなく、決して繊細とはいえない音を発する。弦のうちの1本は、常に同じ音を発するドローン弦である。そしてメロディーを奏でるには、キー(鍵)を押さえる。

ニッケルハルパ。最近日本でも演奏者を増やしているスウェーデンの民族楽器。16本の弦を持つが、そのうちの12本は共鳴弦。また弓で弾かれる4本のうちの1本は、ハーディー・ガーディと同じドローン弦。そしてハーディー・ガーディと同じように鍵を押さえて音を変えるが、その鍵をニッケルというそうだ。弓を使うが、ヴァイオリンなどとは構え方が違う。どちらかというとギター風。そして最後の演奏にはニッケルハルパにカンテレとライアーが加わった。

結局異種楽器同士のセッションを楽しむ時間がなかったが、それはハートストリングスの拡大練習会で試していきたいと思う。通常の練習会は主に日曜午前で月2回行っているが、7月に1回、日曜午後の会場が予約できている。

7月6日(日)13:00~17:00 永福和泉地域区民センター第四集会室


※通常の練習会の見学も歓迎します。6月は8日と22日、9:00~12:00で同じ部屋です。
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by yt-aoki | 2008-06-04 02:10 | 楽器 | Comments(1)

41人、43台、1596本 その1

6月1日の多弦楽器の集い、参加人数41名、参加楽器43台、そして弦の総数1596本。
いったい何本の弦が集まるのだろうと思っていたら、参加者の一人が数えてくれました。こんなにも集まっていただけるとは思わなかった。

ハンマー・ダルシマー、ピアノ・ダルシマー、バックパッカー・ダルシマーと揚琴以外の楽器は、ハックブレット(ザルツブルガー)、イランのサントゥール、インドのサントゥール、タイのキムが打弦楽器。

撥弦楽器が多様で楽しい。まずはダルシマーに形が似たものから。

ツィターは、ミュンヘンとウィーンではチューニングが違うことを知った。ツィターのサウンド・ボックスはとても小さく音も小さい。ところが、専用のテーブルに乗せると、音が大きくなる。

フィンランドのカンテレはもともと5弦の楽器。その5弦で、15種類の音を使っての演奏があった。普通にはじくだけでなく、ハーモニクスなどを使う。思わず見入ってしまって写真を撮ることも忘れた。その後カンテレは、10弦、19弦と数を増やし、最終的には38弦、5オクターブで、変音装置とダンパーを備えたコンサート・カンテレとなった。5弦とは全く違う楽器だ。

次がオートハープ。これはもともとドイツで教育用に開発された楽器と辞典で読んだ記憶があるが、アメリカに渡りフォーク・シーンで使われる楽器となった。以前は膝やテーブルの上に置き、バーを押さえてコード(和音)を発するだけの楽器であったが(20世紀半ばのそういう写真を見かける)、現在では胸に抱えてバーで消音しながらメロディーを弾くスタイルが多い。今回はアメリカのオーシー(Orthey、サウンド・ホールは花型)と、日本の
koto-koto harp(箕田泰男さん製、サウンド・ホールはY字にスノー・ドロップ)が登場した。ダイアトニック楽器とクロマチック楽器があり、コード・バーの数もいろいろある。

そして日本の「こと」。漢字で書くと「筝」。「こと」と書いて漢字変換すると「琴」の字が出てくるが、これは「柱(じ)」のない楽器のことなので、筝を使う。英語で紹介するときには、
Japanese Long Zitherという。表面板がカーブしているため全く違うように感じるが、
ツィターと同じ種類の楽器で13弦。17弦筝もあるが、これは大正時代に大型化したもので、チューニングも違う。西洋音楽にばかり親しんでいると、日本の楽器は別と思ってしまうが、同族の楽器と考えるといろいろ面白い面が見えてくる。

次は手作りの楽器が登場。すのこを利用した楽器? 手作り楽器は思いがけない工夫がある。とても文字では説明しがたいが、実は「作る」ということに興味を持つ人が多いのも、弦楽器の特徴ではないかと思っている。

ここまででほとんど2時間が過ぎ、15分ほど休憩。その間に、カンテレ、ニッケルハルパ、ハープ、ライアーなどが一緒に演奏していた。

休憩後の最初はハープ。多弦楽器としてははずせないと思っていたけれど、どこからも連絡がなかったので、当日の朝参加楽器の一覧を作りながらハープの隣に「残念!不参加」と書こうかと思っていたのだ。ところが、開始間際に大きな楽器ケースを抱えて入ってきた女性がいて、そのケースの形からひとりひそかに心の中で「やったー!」と叫んでし
まった。私達のレパートリーにもアイルランドのハープ奏者カロランの曲があるが、彼女もアイリッシュを弾くというので思わず「カロランは?」と尋ねたら弾いてくださった。ハープとダルシマーという組み合わせではノーザン・ライツというアメリカ生まれのユニットがある。日本でもできたらいいなあ。
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by yt-aoki | 2008-06-04 01:24 | 楽器 | Comments(3)