カテゴリ:ハンマー・ダルシマー( 75 )

初めてのD10

10年以上前、ハートストリングスの前身となるグループができた頃、私たちはDave
Neiman氏からDusty Strings社の楽器を買った。初心者は皆テーブル用の足とケースがセットされたApprentice Packageを選んだというか、私などはそれ以外は先生の持つ大きな楽器しか知らなかったと言ってもよい。大きな楽器は高かったし、重かった。だから迷いもなく、Apprenticeを買った。

2002年、Neiman氏から送られてきたDusty Stringsのカタログに、
「最近D35が小さくて軽くて安くて評判がよい」というメモが貼り付けられていた。
その翌年グループに入ってきたTさんは、翻訳ソフトを利用しながら自力でD35を輸入した。
初めてその楽器を見たとき、確かに小さくて軽くて、さらに買おうと思った時に手が届く価格だった。また、私はApprenticeの単純な形に惹かれていたので、ブリッジを追加してクロマチック・レンジを広げることにも、音域を広げることにも興味がなかった。そういう点でも、高音にわずかな工夫をしただけのD35は魅力的な楽器だった。

2005年に和歌山と東京の遠距離デュオであるメリー・ストリングスを結成、茨城県の美野里で演奏しようとしたとき、Apprenticeの2オクターブ半では音が足りなくなってしまった。最初はそれをあまり使わない音を変えて作ろうかと考えたのだが、そのうちにそれがD35で解決することに気づき、買うことにした。以後、D35が私のメインの楽器となった。その後も足りない音はでてきたが、楽器を大きくするのではなく、その楽器の範囲内で編曲するというように方向を変えたので、今はもうどんな曲でもD35で弾けるようにしか考えていないし、半音進行が続くような曲はいくらきれいな曲でも演奏しない。ダルシマーに合うか合わないかを考えて選曲するようになった。

先日楽器購入についての相談を受けた。私はいつものようにApprenticeをおすすめした。音楽経験によってはD35以上の楽器も考えられるが、楽器の重さとチューニングの大変さを考えると、12/11は十分使える楽器だ。実際ドイツ大会で出会ったイギリスの演奏家も、その大きさの楽器で華麗に舞曲を弾いていた。ハートストリングスのメンバーでも、必要に迫られないかぎり、Apprenticeを使い続けている。

ところがその方は、色や形、質にもこだわる方だった。そして選んだのがD10だった。D10はApprenticeと同じ大きさだが合板ではなくサペリという木材でできている。そして到着した楽器を持って訪ねてきてくださった。そのときの主な目的がチューニングの仕方を知ることだったので、あまり家にあるApprenticeと弾き比べることはしなかったが、Apprenticeに比べしっかりと音が保たれ、ペグが固いという印象を持った。だいたいダルシマーは新品を買って半年くらいは、毎週のようにチューニングしないと安定していかない。それが、すでに安定した状態で、ほとんど合わせる必要もないくらいだった。

この楽器、持ち主のお宅にこもるのではなく、いつかどこか外で聞く機会ができたらと思う。
[PR]
by yt-aoki | 2010-06-16 17:09 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)

The World Turned Upside Down

実はめったにCDを聞かない。昔は「ながら族」だったと思うのだが、最近はできない。
何か聴こうと思う時だけかける。流そうと思っても、気になって曲名を確認したり、聞きなおしたりする。鑑賞という時間は少なく、ほとんどその演奏家や曲目について知りたくてかけているようなものだ。

久しぶりにYo-Yo Maと「アパラチア・ワルツ」で一緒に演奏したMark O'Connor(フィドル/ヴァイオリン)を聞こうと思った。手元にあったのは3枚。

Appalachia Waltz アパラチア・ワルツ

これはチェロのヨーヨー・マ、コントラバスのエドガー・メイヤーとのトリオ。
アパラチア・ワルツのタイトルに惹かれたが、このタイトル曲は、ワルツ好きとしてはあまりにゆったりした3拍子でちょっと期待はずれ。College HornpipeやStar of the County Downといった曲の見事なアレンジが収められているが、予想に反してオリジナル曲が多かった。

Appalachian Journey アパラチア・ワルツ2

これは前作のトリオにジェイムス・テイラーが歌とギターで、アリソン・クラウスが歌とフィドルで参加している。こちらにはフォスターが2曲歌われ、でもやはり伝承曲はLimerockとFisher's Hornpipeの2曲だけ。

Liberty! The American Revolution  リバティ

これはMark O'Connorのアルバムで日本では1997年12月に発売されたもの。何故年月まで書いたかというと、今回初めてダルシマーで習った曲が納められていることに気づいたからだ。このCDの1曲目、Song of the Liberty Bellをダルシマーで弾きたいと譜面に起こしていたほどなのに、気づかなかったということは、CDが先だが、覚えるほどは聴いていなかったということだ。

習った曲は4曲目のSodier's Joyと6曲目のThe World turned upside down、そして11曲目のDevil's Dreamの3曲。そして今では9曲目のFlowers of Edinburghも
知っている。

1番驚いたのがThe World turned upside downだ。CDではハープシコードのソロから始まるこの曲は1998年11月18日に[22][94]という2曲が収められた鍵盤楽器の楽譜で習った。楽譜にはEnglishという書き込みがあり、[94]の方しか教わらなかったが、[22]もどこかで聴いたことがあるようなメロディーで、すぐに覚えてしまった。そして[94]にはWhen ye Kinge Inioyeth his owne againeというタイトルがついていた。

後にハートストリングスでこの曲を演奏することになったので、ちょっと真剣に楽譜の出典を調べたところ、
English Pastime Music 1630-1660; An anthology of keyboard pieces
とわかった。曲名は英語が堪能な方に伺って「我らが王が再び王座につかれし時」と訳していただいた。

それにしても数日前、Merry Strings(Hammered dulcimer duo)かSouth Wind
(harp and dulcimer duo)の新しいレパートリーを作ろうと楽譜の整理をして、この曲も出してあったのでびっくり。しかもこのO'Connorのこの曲のまとめ方は参考になる。

ちなみにMark O'Connorを思い出したきっかけは、無印良品の「BGM 14」。耳にするなりすぐに買ってしまった。その演奏者がMike O'Connorだったのだ。Mike? あのフィドラーは何と言ったっけ?と出してきたのだった。

今もう一度解説を読み直してみたが、このLiberty!というアルバムは、トーマス・フレミング作のテレビ映画『リバティ!』の挿入曲だそうだ。そして、The World turned upside downは「古いイギリスの歌曲であり、様々な歌詞が付けられていて、イギリス軍が1781年にヨークタウンで降伏したときにこの曲を演奏しながら行進したと伝えられている」とトーマス・フレミング自身が書いていた。

なるほど。そういう言われの曲なら、ぜひやってみよう。
さて、どう料理するかな。
[PR]
by yt-aoki | 2010-05-16 02:05 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)

South Wind - harp & dulcimer duo

ハンマー・ダルシマーでよく演奏される South Wind は、18世紀アイルランドのハープ奏者のコレクションから広まったそうだ。楽譜は4分の3拍子だったが、元は8分の6拍子で書かれていたらしく、実際8分の6拍子のように弾いている。ソロでの演奏活動を考えるようになったとき、最初に弾いたのがSouth Windだった。以後カフェ&ぎゃらりー自然館のBGMでも、この曲から始めることが多い。

自然館という「人前で弾く練習をする場所」を得て半年ほど経った時、友だちの紹介で
ハープ奏者が目の前に現れた。自然館での演奏を聞きに、楽器を持って来てくれたのだ。せっかくだから試しに一緒に弾いてみたら何でも合わせてくれる。「伴奏弾きますから」はこれまで私の役だったのに、何故だろうとお話をしていたら、同じようなバックグラウンドを持っていることがわかった。ダルシマー・デュオ、メリー・ストリングスを始めた時もそう思ったが、この人となら一緒にできる! 合わせるというつもりもなく、呼吸が一緒になるような感じの人と一緒に演奏したい。それで月に2回、自然館で一緒に練習させていただくことにした。

決め事これだけ。
今までどおり、思いつきで、曲名も調も言わずに続けて弾きます。
1曲は3回繰り返します。知っていたら2回目でメロディーを弾いて下さい。3回目は一緒に弾きましょう。

これが面白い。知っている曲は最初からわかる。伴奏のつけかたに自信がある。そうすると私は「これは来るな」と思って2回目は伴奏に回る。そして3回目は2人でメロディーを弾く。ダルシマー2台の場合、同音でメロディーを重ねるのはつまらないが、音色の違うハープとならば一緒になってもまた違う効果を生む。うっかり2人一緒に高音域に行ってしまったりすることもあるが、そのあたりは相手の出方を伺いながら変えていく。たまに「弾き始めたけれど、忘れちゃった」ということもあり、「どうやらそういうことらしい」と途中からメロ
ディーを引き継ぐこともある。これ、もう2回で止めようかと思っても伝わるようで、ちょっとテンポを遅くすると一緒に終わってくれる。相手を見たり、視線で合図を送るなどということは一切ない。そうやって繰り返すうち、ハープが苦手とすること、音域などがわかってきた。ある同じコードのアルペジオでも、音の取り方が違うらしく、うまく絡み合う。

1年前、あるコンサートに出させていただいたとき、聞きに来てくださったかたから「ダルシマーの細かい細かい光と アイリッシュハーブの柔らかい風」と評していただいて、この
デュオに名前をつけるとしたら光か風に関係する言葉が良いと思っていた。それからいろいろ考えた末、私たちの最初の演奏曲と同じ、South Windに決めた。

そしてまだ名前を決定していなかった5月4日、ケアプラザのお食事会での演奏曲目も、やっぱりSouth windから始め、 Green sleeves, Londonderry air, Road to Lisdoonvarna, こいのぼり、茶摘、浜辺の歌、Amazing Grace, Aura Leeなど。食後のことで、気持ちよく眠っていらっしゃる方も、一緒に歌ってくださる方もいる。後から思えばもう少し席を近づけていただいてもよかったかもしれない。演奏終了後はもちろん、楽器に触れていただいた。ハープははじけばよい、ダルシマーは叩けばよいので、すぐ音が出る。ハープにもダルシマーにも人が群がって楽しいひとときだった。

South Windという名前での最初のステージは5月29日~30日の、第9回美野里ダルシマ&オートハープ・フェスティバルの予定。自然館では12日と26日の12:30から。お客さんがいればBGMに、いないと練習になる。

ケアプラザ1の動画はこちら

ケアプラザ2の動画はこちら
[PR]
by yt-aoki | 2010-05-05 01:10 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)

ダルシマー・デュオ

久しぶりにカメラの中を整理していたら、去年の美野里の動画がみつかった。



去年のダルシマ&オートハープ・フェスティバルは、初めて、この2人だけでの参加になりそうだったのだ。結局他2名のメキシコ行きがなくなり4人での参加となったが、初日は事前の準備通り、このK&Kの2人だけで演奏した。この動画はそのデビューの1曲目。
[PR]
by yt-aoki | 2010-04-11 21:39 | ハンマー・ダルシマー | Comments(1)

発表会で演奏

昨年、音楽教室の発表会で演奏させていただきましたが、今年も別のところですることになりました。

先週その主催者の先生方と打合せをしたのですが、決めたことは、先生が歌う歌の曲目(2曲のうち1曲は調も未定、その伴奏をハープと)、ソロ演奏をそれぞれがすること、ハープとのデュオは適当に子供が知っている曲を入れて、ということだけ。楽器についてのインタビューを含めて全体で30分から40分ぐらい、というアバウトなもの。

その後、歌の調が決まり、子供たちが知っていそうな曲を連ねたメドレーを決め、調も決めて今日自然館で合わせてみたのですが、コードが合わなかったりしてしっくりこない。それでもう一度メドレーの順を組み替えたり、全体の構成を考え直したりして、最後の1時間は練習室で通してみました。ソロは4月の初めに演奏しなければならないので、多少は練習していたのですが、間に合うのかなあ。本番は3日後の27日です。

今回の先生方、いつもボランティアでの演奏をこの程度の打合せでしているようです。先日聞いたところによると、そんな話はなかったよという本番当日の変更もあるとか。この人たちについていくにはそれくらいの度量がないといけないようですが、同じようにできるだろうと私を扱ってくださることをうれしく思います。
[PR]
by yt-aoki | 2010-03-24 22:23 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)

ピの日?



なんだか妙な曲。タイトルも Pi 111.
初めてYouTubeに投稿したのだけどというご本人からのメーリング・リストへのメール、最初は曲の説明もよくわからなかったのです。

(my composition turning the first 111 digits of the decimal expansion of pi into a waltz in G)

ピ? 

下の方には、もし3月14日にいらっしゃれるなら、私のPi day partyにご招待します、とも書いてあり・・・

パイだったのですね。 Π 3.14159265・・・ 円周率。
右側に流れる数字がそれ。その111桁まで使った曲。

3月14日は日本ではホワイト・デーですが、国際的にはパイの日。WikipediaのPi Dayの項目にはPi Pie(円周率をあしらったパイ)の写真が掲載されています。
[PR]
by yt-aoki | 2010-03-13 14:30 | ハンマー・ダルシマー | Comments(1)

デビュー




このアンサンブル、良いですね。
ダルシマーの新しいスタイルとして、可能性が開けたような気がします。

ピアノの連弾曲の下のパートを、ダルシマー用にアレンジしたのだそうです。ダルシマー向きの調じゃなく
難しいのですが、一度体験すると使えるようになりますね。
次が楽しみです。

You Tubeにはもう1曲アップされてますので、ぜひご覧ください。
[PR]
by yt-aoki | 2010-02-07 23:26 | ハンマー・ダルシマー | Comments(3)

今日の自然館

最近はグループのお客様が少なく、お食事だけで席を立たれる方が多かったのですが、今日はダルシマーの演奏があると知って聞きに来てくださった3人連れの方がいらっしゃいました。

久しぶりにそんな風にしっかり聞かれていると緊張します。聞きに来てくださったのだとわかった途端、即興力が冴え弾いたことのないフレーズが浮かんできたのですが、弾くことへの集中力が高まるために、次に何を弾くかということへの意識が弱まりました。いつもはもっと力を抜いて1時間プラスアルファを心がけるのに、今日は無理、楽器をご覧になるかもしれないと思い、少し早めに終わりました。

案の定、終わると(もうその時点で他のお客様は帰られていて)拍手をしてくださり、楽器を見にいらっしゃいました。先週末の展覧会にいらしてダルシマー演奏があることを知り、来て下さったのだそうです。そしてダルシマーは私たちの仲間、I さんの演奏を2、3年前に聞いたとのことでした。

音楽にお詳しいようで、そういう方との話は長くなってしまいます。けれどこうやって少しずつでも、楽器を知る人が増えてくれればと思っています。
[PR]
by yt-aoki | 2010-02-03 23:56 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)

YouTube

エキサイト(このブログを運営しているところ)でYouTubeなどの動画を貼り付けられるようになったらしい。

今年の初め、遠方に住む友人に私の楽器を見てもらおうと、デジカメで自分の演奏を録画してみた。当人には持参したカメラで見てもらったのだが、以前から友人と動画を非公開で共有するためのサイトは確保してあった。そこに2、3点公開映像を置いてあったのだが、エキサイトの変更を見てYouTubeにもアップしてみようかという気になってしまった。

YouTubeのアカウントを取り、動画をアップロード。
それをこのブログに貼り付けるには・・・といろいろやってみた結果です。
友だちにだけ見せる程度の一発撮りはちょっと恥ずかしいけれど、ひそかにアップして数時間でコメントが入ったのはびっくり。


[PR]
by yt-aoki | 2009-11-06 02:18 | ハンマー・ダルシマー | Comments(1)

アイリッシュ

アイルランド民謡を演奏し続けて20年というフェアリー・ドクターさんの、結成20周年記念コンサートに行って以来、アイリッシュのメロディーが頭に浮かぶ。

アイリッシュはジグやリールなど舞曲が多い。基本的にリズミカルな舞曲は好きなので、聞いていて楽しいから弾きたくもなるのだが、ダルシマーで弾くのは難しい。特に速い曲は手が動かないし、残響の多いダルシマーには向かないものもある。アイルランドでもダルシマー・フェスティバルは開催されているが、ダルシマーを嫌うアイリッシュ・ミュージシャンもいる。アイルランド音楽の本を開いてみれば、ダルシマーという楽器の評価が低いことがわかるだろう。

それでも私たちのレパートリーにはアイリッシュがたくさん入っている。私たちが先生から習った曲は、先生の個人的好みでギリシャの曲やクラシックが入ってきたりするが、基本的にアメリカ東海岸のダルシマー界でよく演奏されるものだ。時々Traditionalとしか書いてなくて、どこのTraditionalだろうかと迷うものもあるが、よく調べてみるとアメリカンばかりでなく、アイリッシュだったりスコティッシュだったりする。それも、アメリカに入ってタイトルが変わったり、同じメロディーでリズムが変わったり、アイリッシュでリールという舞曲だったものがゆっくりと弾かれたり、さらにはジャンルによって微妙に違ったりする。

はじめのうちはどの曲もゆっくり弾くのでジグにもリールにもならないし、いつまで経ってもそんなには速く弾けず、ダンスを踊ってはもらえないだろう。そういう点でもアイリッシュとは言いがたいのだが、流入のルートからしても、私たちが弾くのはアメリカナイズされたアイリッシュだという自覚は忘れずにいたい。
[PR]
by yt-aoki | 2009-09-27 12:51 | ハンマー・ダルシマー | Comments(0)