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クロマチック・ダルシマー

クロマチック・ダルシマーという言い方はあまり一般的ではない。私が見た唯一の例は、フランスで出版されたハックブレット教本の英語タイトルだ。3ヶ国語で書かれたこの本のフランス語のタイトルは、
Le tympanon chromatique
英語は
The chromatic dulcimer (hammered)
そしてドイツ語が
Das chromatische Hackbrett
そしてこの教本が扱っているのは、この写真のようなハックブレットだ。

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最初はハックブレットといえばこれしか知らなかったので、Das chromatische Hackbrettという言葉も奇妙に感じたかもしれない。しかし今ではこの楽器がドイツではSalzburger Hackbrettとも呼ばれる新しいハックブレットであることを知っている。

今回、日本打弦楽器協会ではこの言葉を使い、「クロマチック・ダルシマー研究会」を開催した。このSalzburger Hackbrettのほかに、もうひとつのクロマチック・ダルシマーであるPiano Dulcimerを入手したからだ。こちらはアメリカ製。

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この2つの楽器の大きな違いは、ハックブレット(以下Hb)は左右に立てたブリッジの内側しか使わず、1コース3弦であるのに対し、ピアノ・ダルシマー(以下PD)は中央に立てたブリッジの外側を使い、1コース2弦だということ。Hbは右ブリッジの上を通った弦は左ブリッジの下を通り、左ブリッジの上を通った弦は右ブリッジの下を通るため、中央部で弦が交差するという、ダルシマーの一般的な特徴を持っているが、PDの弦は山形に張られているだけで、交差はない。標準的なHbとこのPD(Dusty Strings PD-30)はどちらも g から d2 の2オクターヴ半であるが、弦の数はHbが96本に対しPDは32本しかない。当然これは重さにも反映する。もちろん弦の数が多い分だけドイツの楽器は頑丈に作ってあるが、本体だけの重さを比較するとHbが8Kg、PDが6.5Kgである。Hbはハードケースに入っているためケースに入れると12Kg、PDの方はソフトケースなのでケースにいれても8Kgにしかならない。

通常ダルシマーはブリッジの上の1点で弦を支えるが、PDのブリッジ上では2点で支えている。これは左右の音が互いに共振することを防ぐための工夫だそうだが、ここにピアノの鍵盤と同じ白黒のマークを使うことで、音の配置をわかりやすくしている。またHbが低音に行くほど左右が広がって行き手が離れていくのに対しPDは1つのブリッジの両サイドであるため、弦を打つ位置が近く、ブリッジを超える移動が楽に行なえる。

実際このPDを入手して弾いてみると、初めてHbを弾き始めた頃に比べると楽に弾ける。これは必ずしもバチの持ち方の違い(Hbは人差し指と中指の間に挟み、ダルシマーは親指と人差し指で持つ)だけではないだろう。

さて研究会の方は平日の昼間ということもあって、参加者が少なかった。しかもほとんどがダルシマー族のベテランばかり。ひそかに意図した目的、初心者から初級者へのサポートとその継続的な開催を計画するということからはかけ離れた会となったが、クロマチック楽器であるからこそ弾いてみたい(普段のダイアトニック楽器では絶対弾けない)サティのグノシェンヌに、その場で初めて触る楽器で伴奏をつけてくれるメンバーがいたりして、楽しいひと時を過ごした。
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by yt-aoki | 2006-07-31 20:44 | 楽器 | Comments(0)

ピアノ・ダルシマーと合宿

ピアノ・ダルシマーが到着したのは、結局7月1日の土曜だった。
荷物の登録は21日だったが、実際に集荷されたのが26日でアメリカを出たのが29日。30日(金)の午前中には一度届いたが、不在のため翌日の再配達となった。来たばかりの楽器を2日のハートストリングス練習会へ持っていく。メンバーの何人かはすでに一度見ている楽器だが、見てない人もいる。当然この日の練習会ではほとんど弾けなかった。

言葉では説明しがたいこの楽器の写真を撮りたいと思っていたが、翌週の土曜は出勤だったしお天気がよくないと撮影をしようという気にもなれない。そうこうするうちに日にちが経っていく。

そして先週末は、久しぶりのハートストリングスの合宿。前回の合宿(1998年11月)は先生と一緒に流星群を見に行き温泉でも入ろうかという趣旨で行なわれたので、本格的な練習のための合宿は初めてだ。何をどうするか、今ひとつ決めかねていたが、私はどちらかというと成り行きにまかせてしまう。

ゲストの参加者があった。その人と会うために場所を決めたようなものだ。
春ごろから夏合宿の話が出て、どこか適当なところがないかと探していたのだが、車を使うメンバーが少ないため、電車でも車でも行ける所を考える。でも電車で遠距離行くのは億劫と、場所探しにあまり力が入らなかった。ところが美野里で出会った人のダルシマーの弦が切れていること、私たちとは違う有名なメーカーの楽器であることを知って、彼女に会える可能性を考えて合宿地を探したところ、あっけなく良い場所が見つかったのだ。先方に日程と場所を伝えると、ぜひ参加したいとの返事があった。

15日、土曜の10時過ぎ、東京を出発。ちょうど昼ごろ最寄り駅で電車組が合流し食事。そして2台のタクシーに分乗して現地へ。1人は車での参加のため直接現地へ。

14時からチューニングをし、ひとしきり練習したところでゲストが合流。しばし楽器の違いを比較したり弦を張り替えたり、チューニングをしたりした後、私たちがどういう曲を練習しているかを披露した。そして一緒に夕食。日帰りの利用者用に夕食を頼むことが出来たので、そういう点でも使いやすい会場だった。食事をし、さらに練習室で交流してから記念撮影をしてゲストが帰り、私たちの練習は9時まで。

その後少し休憩した後、ベッドルームで宴会。といっても、お酒を飲む人が少ないのでささやかなもの。けれど確かそこでの話から、翌日の練習のヒントを得た。今回合宿に参加したメンバーになってから、あまり基礎練習をしてこなかった。土曜はゲストもいたのでなんとなく普段と同じ練習会にしてしまったが、久しぶりに基礎練習をしてみよう。

翌日、早起き組は6時に起きて散歩、そのほかのメンバーは7時半の朝食に集合。
ベッドルームを片付けて9時からの練習は、例によってチューニングから始まったが、その後は基礎の基礎、2オクターブの音階練習から始めた。その後音階を1オクターブにして3連符でのくくりにし、ヴァリエーションを加えてさらにリズムを変えた。初めて経験するメンバーがいたり、ちょっと難しいリズムにも挑戦したため10時半でちょっと休憩。結局アルペジオや連打まで行きつかなかったが、皆の刺激になったようだ。

その後は前日弾かなかったレパートリーを弾き、その他の個人練習曲を披露し、12時に終了。
そこでお昼を頼むこともできたが、メンバーの希望もあり外へ出ることにした。ところが行った先は3連休の中日の昼食時で大混雑。どうなることかと思ったが、テイクアウトの軽食を木の下のベンチで食べるという、遠足のような結果となった。

なんだか出来すぎのような合宿だったが、それもメンバーの熱心さのもたらすものかもしれない。私は合宿の成果はもちろん、新たにダルシマーを持っている人との交流が出来たことがうれしい。どう扱ってよいかわからずしまわれてしまう楽器を、これからも掘り起こしていきたい。
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by yt-aoki | 2006-07-18 23:32 | イベント・コンサート | Comments(0)