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瑶琴・楊琴

また変なものをみつけてしまった。

『明治東京風俗語事典』 正岡容著、ちくま学芸文庫、2001年(初版は1957年有光書房)

何でこんな本を手に取ったかと思うのだが、多分誰かと「東京方言」について話しているうち、何かが気になって、図書館で目に付いた「江戸ことば」とか「東京ことば」の本を借りてきた中にあった。他の本に比べてエントリーが多いので、どうしようかと思ったが、見出しを見ていると結構今でも使われている言葉があったり、やはり今とは違う使い方があったりするので、とりあえず見出し語と、何だろうと思ったものだけ読んでみることにした。そうしたら、

ほうかいぶし〔法界節〕
九連環節(きゅうれんかんぶし)。明治20年代にはやり、町々を男女が月琴、楊琴をかかえて流し歩いた。さのさぶしは、ホーカイと終わりにはやしことばがつく、この唄から変化したものといわれる。

エー!楊琴をかかえて歩くの???

もちろん今中国で使われている揚琴ではない。明治時代のヨーキンは、複雑なのだ。

主に明清楽という音楽で使われた楽器について、以前いろいろ調べてみたけれど、みつかったのは筝のように弦をはじく楽器ばかりだった。たとえば東京藝術大学美術館に所蔵の清楽器と伝えられるものの中に全長127.5cm、14弦の瑶琴があるが(写真は『図説 日本の楽器』にあり)、爪のようなものが写っているので筝に類する楽器と思われる。中には複弦で打奏されたと思われる楽器もあるのだが、ダルシマーとは言いがたい。それで私には関係のない楽器として割り切ったつもりだった。

ところが『明治東京風俗語事典』を読み進むと、こんな項目まで出てきてしまった。

ようきん〔瑶琴・楊琴〕
桐の胴で、真鍮(しんちゅう)の絃(いと)を13本または16本はった、持ち歩ける小型の琴で爪は鼈甲(べっこう)製である。川柳に「法界屋(ほうかいや)琴をコラショとしょって来る」。

あらら。
明清楽を調べた頃には関連分野として法界節も、九連環もでてきたが、歌詞についての話ばかりだったし、月琴にもあまり興味がなかったので深くは調べなかったのだが、筝とわかっていても楊琴は気にかかる。

ちなみに陽琴というのもあるのだが、これもはじく楽器で、大正琴を作った森田吾郎が明治時代に作った楽器。形も違い、素性がはっきりしているので、安心して除けておける。
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by yt-aoki | 2009-07-10 00:37 | 楽器 | Comments(3)