音に色を感じる人たち

先日の張林さんと二胡の王霄峰さんのコンサートでは、張林さんの「僧侶と紫陽花」という新曲が披露されたが、それにまつわる解説は、まさにああいう場にいないと体験できないものという感じで興味深かった。

「僧侶と紫陽花」は、鎌倉のあじさい寺として有名な明月院へ行った時のこと。それもいいかげんな時間に行ったら、夕方ですでに閉門してしまっていたのだそうだ。それでもなんとか中が見えないか、覗こうとしたという。そういう印象深い体験が残って音楽になっていくのだろう。

二胡のパートは、実は二胡よりも、インドのサーランギという楽器をイメージし、インドのラーガも取り入れているという。

王さんの側からすると、楽譜がファックスで送られてきて、それをそのまま練習してしまったが、もう少し張さんの音を聞いてから練習した方が良かったと思ったそうだ。コンサート当日、2人は初めて合わせる。

曲の構成を修正しながら、ある部分をカットしようかという話になったとき、王さんはその部分を弾いてみて
「でもここは青い色を感じるから残そう」と言ったそうな。
それを聞いた張さんは鳥肌がたった。「それが紫陽花の色」

張林さんのコンサートには何度か行っているが、張さんの曲を聞いた記憶はあまりなかった。それで、こういう解説を聞くうちに、張さんという人はどういう曲を作るのだろうかとさらに興味が湧いてくる。

実際に演奏が始まってみると、明月院という日本でも、サーランギというインドでもないし、中国という感じでもない、インターナショナルというよりは、無国籍というか、どこにでもありそうな民謡のような素朴さというか(それは決してどこかで聞いたような曲という意味ではなく)、とにかく一番心に残ったのは優しさ。とても優しい曲だった。

後から王さんが青を感じたところを弾いてくれたが、凡人には言われてみればそんな感じもするという程度にしかわからない。真剣に曲に取り組んでいると色も感じるのだろう。

他の曲についても2人の話は面白かった。アルベニスの「アストゥリアス」(この揚琴ヴァージョンは良い!)と四川の「将軍令」についてもそうだったが、楽曲の解説ではなく、音楽と向き合っている中から感じ取ったことを話してもらうのは楽しいことだと知った。
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by yt-aoki | 2010-12-11 23:30 | 揚琴 | Comments(0)
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