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第15届世界揚琴大会

中国安徽省の合肥(Hefei)市で開催された、15回目のCWAコングレスに参加してきました。2005年に北京で開催されたときと同様、外国からの参加者は少なかったのですが、それでも13か国からの参加がありました。会長ヘレンチャールさんとスロヴァキアからのツィンバロム、スイス・アッペンツェルのハックブレット、イギリスとアメリカのダルシマー、イランのサントゥール、メキシコのサルテリオ。シンガポール、マレーシア、オーストラリアは揚琴で、韓国からは伝統のヤングムを使うグループと、揚琴と韓国楽器を使うグループ、そして日本からは揚琴、ツィンバロム、ダルシマー。一方中国国内からは、各地にある音楽学院、師範大学ほか、揚琴協会、地域の代表団など30組。それぞれの枠の中で、1曲ごとに楽器を入れ替え編成を変えるところから、1台の揚琴を代わる代わるソロで演奏するものまでさまざまでした。

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26日夜のオペラハウスでのオープニング・コンサートは100人による揚琴合奏”Beautiful Hefei"(写真)に始まり、揚琴合奏、中国楽器の合奏、ツィンバロム、ハックブレット、サントゥールなど中国以外の楽器を紹介する曲目、そしてオーケストラ伴奏による揚琴名曲集などがあり、揚琴関連の曲を紹介するものでした。ホテルとオペラハウスはバスで送迎されますが、別のホテルに行くバスもあるので、乗り間違えないようにと注意されました。

翌朝、会場であるオペラハウスの前で、巨大な半円形を作っての写真撮影の後、同じ建物内の音楽ホールでコンサートが始まりました。その日の午後、ツィンバロムの崎村潤子さんとダルシマーの私とは別枠で、日本からの参加者、揚琴の張林(Zhang Lin)さんのコンサートがありました。実はそのコンサート以前にお会いすることができなかったので、楽屋からの出待ちをしました。それ以後は不思議とホテルのエレベータで一緒になったり、ホールで出会ったりできたのですが、張林さんも昔馴染みの方たちとお会いになっているようで、楽しそうにしていらっしゃいました。

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コンサートの終演予定は夜の9時半でしたが、ほぼ毎日10時。バスに乗ってしまうと、ちょっとした飲み物などの買い物もできません。ただ、ホールから10分ほど歩いたところに大きなショッピングモールがあることがわかり、食事をしたり、サンドイッチや飲み物を買えることがわかったので、毎日一度はそこへ通うようになりました。滞在3日目の夜、少し早く戻れた時にようやくホテルの向かい側にコンビニを発見し、ペットボトルのお茶を買うことができました。

4日目の午前中の最後が日本人参加者の枠。午前中演奏がある場合開演前にリハーサルがあるので、7時半のバスに乗ります。今回は私のソロ曲が3曲、崎村さんとのデュオで1曲、私が抜けて崎村さんのソロ曲、崎村さんの香港のお友達とのデュオ、さらにマレーシアから参加の人にピアノを弾いてもらってトリオで演奏という構成になりました。この日のお昼くらい日本人同士で一緒に食事をしましょうと出かけた店に、香港とマレーシアの人たちが仲間数人で偶然現れたのには驚きましたが、リーズナブルで美味しい店は誰もが同じように感じるのでしょう。

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最終日はオペラハウスで閉幕コンサート。音楽ホールに比べると楽屋も数があり、日本、スイス、マレーシア、メキシコの7名でゆったりとした一部屋が割り当てられました。リハーサルは各国1曲と、全員合奏曲の「茉莉花」だけ。長い待ち時間の間、スイスのハックブレットを少し弾かせてもらいました。これと同じ楽器は国立音楽大学の楽器学資料館に所蔵されています。スイス・アッペンツェル地方の独特の楽器で、2005年に北京で見た時すぐさま、「これ、くにたち音大にありませんか?」と聞いたほどです。北京でその話をしたとたん、今回の参加者ヨハネスのお母様が「グンジ、グンジ」と叫びだし、国立音大の郡司すみ教授が買い付けた楽器だとわかりました。そして今回実際弾かせていただくと、左側の高音ブリッジの左右が、下の3つは5度の関係になっているのに、その上が6度になっているのだと知りました。しかも上下の弦の関係が、半音のところと全音のところがあるのです。ダルシマーで言うと12/13コースなのですが、クロマチック・レンジが2オクターブと4度、低音はダイアトニックで5度あり、全体で3オクターブの楽器です。効率が良い楽器なのですが、音の位置を覚えるのが大変。「茉莉花」もすぐには弾けませんでしたが、楽器製作者のヨハネスにも難しそうでした。

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閉幕コンサート終演後、身軽な崎村さんが先に私の楽器を持って帰ってくれると言ってくれたので、お願いして、着替えたり荷物をまとめたりしてからバスに乗りました。ところがそのバス、見慣れないところを走り始めるのです。そして到着したのは滞在していたのとは別のホテル。思わず隣席の人に、これはあなたのホテルですかと聞いてみたところ、バンケットよ、との返事。崎村さんがタクシーで帰ったと思い込んでいたので、急いで連絡をとると、崎村さんも前のバスに乗り、同じホテルの玄関を入ったところにいるとのことでした。そこから「円満成功」の宴会。ご挨拶があり、楽器が当たる抽選会があり・・・・終わってホテルへ戻りパッキング、翌日は遠足に参加せず、朝5時にホテルを出るタクシーで帰国の途についたのでした。

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(写真はすべて小出賢司さん撮影のものを使わせていただきました。)

by yt-aoki | 2019-11-15 22:12 | イベント・コンサート
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