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ハックブレット講習会

日付が変わってしまったのでもう昨日のことだが、ハックブレット・コンサートの前に会員向けの講習会を開いてもらった。ビルギットさんは音楽院の先生、それも、ドイツの音楽院でもほとんどのところがハックブレットを民俗楽器としてしか教えない中で、古典から現代曲まで扱う数少ない学校の先生だ。

楽器についてのレクチャーと、ちょっとした体験も含むとても有意義な1時間半だった。おそらく留学経験者以外で、このような講習を受けた日本人は今までいなかったのではないかと思う。ハンマー・ダルシマーの私にとってもとても興味深いものだった。できれば録画を確認して、文字に起こして残しておきたいと思う。

しかし録画を見るのは、ちょっと辛いものがある。私の通訳がちょっと・・・。あんなもの、恥ずかしくて見たくないというのも本音。出席していた皆さんには申し訳ないけど、私の英語能力はそんなに高くない。ただ、音楽を勉強していた経験と、ダルシマーを弾いている経験からのご指名だった。間際になって、ドイツ語が堪能な助っ人が来てくれるという話があってすっかり安心しきっていたのだが、さすがに急なお願いではスケジュールの調整ができなかった。

けれど自分で通訳をすることになって(あれは正確には通訳とは言えない、講師が言っていないことまで言葉を補ってしまった部分がある)、集中して聞いていたため、主催者の一人として、後から来るお客さんのことを気にしたりしながら聞くよりは、ずっとよく理解できた。

立って演奏するか座って演奏するかなど、普段私自身が考えていることと同じこともあったが、腕の使い方など普段の練習では忘れていることもいろいろあったし(かつてダンスを習っていた経験から、人より先に気づいてよいことだった)、言われればすぐに納得できることも多かった。私が感じたのは、彼女の奏法は、本当にベーシックな体の使い方をしているということだった。滑らかに両腕をコントロールする、それが大切だということを伝えてくれた。

一方講習を受けていた日本人の多くは自己流で、しかも成人してから始めた人が多く、ちょっとしたフレーズを弾いているのを見ているだけで「ここの力を抜いて」と指摘したくなる。もちろん彼女はそんなことは言わない。

打ち上げで遅い食事を取っていた時、彼女は言った。「今も習うことがたくさんある。教えている子供達からも習っている。習うことをやめてしまったら、先生としては失格。」だから彼女はだまって日本人のことも見ていたのだろう。よりよくするためには、どういう順序でどういう指摘をするのが効率が良いかを考えていたのかもしれない。

本当に感じのよい人だった。そして音楽的な感性も、とてもよいものを持っている人だ。
コンサートのアンコールで弾いた「さくら」に、それはよく現れている。
朝から夜まで長時間で疲れたが、とてもよい体験をさせてもらった。
by yt-aoki | 2005-11-27 02:04 | Hackbrett
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